気になる作家  や行

気になる作家 や行 

 
 山本文緒  

「眠れるラプンツェル」「ブラックティ」「シュガーレスラヴ」「あなたには帰る家がある」「かなえられない恋のために」

 何かひかれるものあって、売れ出す前から少しずつ読み出していた。(顔写真が私にすごく似ていた本もあったから?)
 虚無、やるせなさ、屈折…などつかみどころのないものを、今の等身大の女性を様々な角度から、うつしだすことで捉えようとしている感じ。こつこつ紡いでいる、手作りという感じがする。何か独特の手ごたえを感じる。その先にあるものがますますわからなくなるのだけれど。


 山田太一 

 「岸辺のアルバム」「ふぞろいの林檎たち」「異人たちとの夏」「思い出作り」
「飛ぶ夢をしばらくみない」「丘の上の向日葵」


 いつも時代を一歩も二歩も先読みしていた、つねに新しかった。独自の価値観で既存の物事、家族や社会を見直し、よさを発掘したり、既成観念をくつがえしていった。手がけたドラマ、昔のものから(昭和50年前後のものなど特に)ひとつひとつ見ていきたい。
 「ふぞろい」もまさに私の世代の青春と足並みそろえていた。
 「異人たちとの夏」「飛ぶ夢をしばらくみない」のように過去・現在・未来とタイムスリップしながら、家族や男女という人間の愛の検証をするような作品も好きだ。
 しかし、こころなしか、最近の新作は殿堂入りしたというのか、山田太一作品という古典として作られているような感じでさみしい。

 横森理香   

「ダイナマイト」「エステマニア」「地味めしダイエット」「EAT&LOVE」「結婚小説」
 
 
 10年くらい前か「クレア」に座談会みたいなページで名前を見かけ、おもしろいとは思ったけれど、本を書く人とは思わず、そのままに。
 読み始めてからまだ日が浅い。
 最初、恋愛小説の短編を集めた文庫本で、「ダイナマイト」に出会って、まさしくダイナマイトをしかけられた。すごくおもしろかった。
 現代風俗をそのままとらえた言葉による表現はすれすれのところで、軽薄にならず、人間の心理や感情や生活や関係、愛したり、思ったり、いろんなことを考えるようすを豊かに描写してくれる。
 だから価値観もいろいろな人々が登場するが、どの人もリアルで共感できるのだ。
 この人の自然回帰の食生活を始めとする私生活、結婚生活もおもしろく、楽しそうだ。


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